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佐野研二郎のデザインが評価されない理由、それは鼻をつまんで料理を食べる人が多いからである

      2015/11/05

先日、カレーとシチューに例えてデザインの類似性について説明しましたが、今回は料理の食べ方に例えデザインの良し悪しを説明しようと思います。

今回の佐野研二郎氏の盗用問題で佐野氏を擁護するデザイナーに対して、「デザイナーって何で上から目線なんだろ?」「素人に理解できない自己満足なデザインには価値は無い」というようなバッシングが浴びせられました。細かく挙げれば色々な意見がありますが、おおかたまとめると「佐野氏を擁護するデザイナーは素人をバカにしている」という受け取られ方をしているということです。

人間ですから中には素人を見下して優越感に浸るしょうも無い人もいることでしょう。しかし、多くのデザイナーが思うことは「デザインの見方を知って適切な評価をして欲しい」という切実な願いから出た言葉だと思うんですよね。

このデザイナーのもどかしさは料理の食べ方に例えると非常に分かりやすいかと思います。

「お客様、鼻をつまんで召し上がられても美味しくないと思いますが・・・」

盗用の有無は置いておき、佐野氏デザインの五輪エンブレムに対する評価のされ方に、もどかしさを感じているデザイナーは非常に多いと思います。

人それぞれ好き嫌いがあるのは当然ですからそこは問題ではありません。問題なのは『適切な評価』の下し方を知らずに安易な評価をされてしまっている事なんですよね。

『適切な評価』とは何でしょうか?
料理の食べ方に例えてみましょう。すんなり理解できるかと思います。

高級フレンチを食べて、「なんて不味いんだ!金返せ!」とクレームを付けるお客さんがいるとします。しかし、その客をよくよく見てみると鼻をつまんでいるではありませんか。そこでシェフは一言こう言うのです。

「お客様、鼻をつまんで召し上がられても美味しくないと思いますが・・・」

鼻をつまんだ状態で料理を食べても『適切な評価』は出来ませんよね? 今回の五輪エンブレムの件も同じことが言えるんです。

こちらの記事で解説しているように、佐野氏がデザインした五輪エンブレムには様々なコンセプトが込められています。これらを知った上で「悪いデザイン」だと言われるのは彼の実力不足ということで納得いく話ですが、それを一切知られること無く「悪いデザイン」と言われてしまっているのが現状で多くのデザイナーはもどかしさを感じているわけなんです。

実際、エンブレムの中心部分の『黒』には、全ての色を混ぜる合わせる事で生まれる色である『黒』によって、全ての人種が参加する五輪の『多様性』を表していることを一体どれだけの人が知っているでしょうか?大会エンブレムとパラリンピックエンブレムが全く同じ形状である事や、2つの方法で『平等』を表していることを一体どれだけの人が知っているでしょうか?

ほとんどの人が、鼻をつまんだ状態でデザインという名の料理を食べて「美味しくない!」と言っているんですよね。苦労して作ったのだから鼻をつままずちゃんと味わって欲しいと思うのは当然だと思いませんか?

「鼻をつまんで料理を食べる人などいない」という人へ

確かに、鼻をつまんで食事をする人はいないでしょう。嫌いな食べ物を無理に食べようとする子供を除けば。

もう少し現実味のある例えを出すなら『そばの食べ方』ですね。

そばを美味しく食べるには『すする』という食べ方が必要不可欠です。すすることでつゆがそばにしっかりと絡むから美味しいわけです。すすらずに食べては美味しさも半減してしまいます。つまり、『適切な評価』には適切な作法が必要なんです。

メディアの報じ方に問題あり

デザインの魅力を十分に知るためには、デザインに込められたコンセプトを知る必要があります。今回のような国民全員がターゲットとなるデザインであればメディアがテレビ番組などで大々的に取上げるべきなんです。

しかし、今回の件でエンブレムに込められたコンセプトをきちんと知ることが出来たのは盗用疑惑後の会見の時だったと思います。少なくとも私はその時に知りました。

エンブレム発表時にメディアが佐野氏にエンブレムのコンセプトを説明する時間を十分に与えれば、世論は今と全く異なっていた可能性もあると思うんです。実際、こちらの記事をご覧頂いて佐野氏のエンブレムを評価する人が結構多かったんですよね。

プロなら鼻をつまんで食べても美味しいと感じる料理を作る事も必要

鼻をつまんでなくても、鼻詰まりや何らかの障害で鼻が効かない人もいるはずです。ですから、シェフはそういう人に対してもそれなりに「美味しい」と感じさせることが出来る料理を作る事も必要だと思うんですよね。

佐野氏にはそれが出来なかった。そこは改善の余地ありということでしょう。最も彼の場合はそれ以上に経営者としての大きな責任があるわけですが・・・。

良いデザインを生み出すには互いに歩み寄りが必要

プロとアマ、業者と顧客という違いはありますが、結局は同じ人と人なんですよね。本質的な部分は互いに対等であるべきだと私は思います。デザイナーは一人でも多くの人に理解されるデザインを作るように努力すべきだし、非デザイナーはデザインを適切に評価する為の知識を身に付けるべきだと思うんですよね。

デザインはコミュニケーション(通じ合い)ですから、一方の主張を押し付けるだけでは成り立たないのです。互いに歩み寄り理解を深める事によって、デザインが磨かれ素晴しい作品が生まれるのだと思います。

 

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