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著作権の『暗黙の了解(ルール)』の難しさ。佐野研二郎氏プレゼン資料盗用問題を擁護しようと思う

      2015/11/05

こちらで佐野氏の五輪エンブレム盗用騒動で新たな展開があったようです。それは五輪エンブレムのプレゼン資料に使われる『イメージ図』の写真が無断利用されたものではないか?といった内容です。

まずは以下の写真をご覧ください。

tokyo-olympics-2020-present

現時点では佐野氏が元画像の著作者に許可を取っているのかは明らかになっていなので”盗用して無い可能性”もあります。もし、無許可であれば間違いなく佐野氏の落ち度です。スタッフがやった可能性もありそうですが、いずれにしろ責任は佐野氏にあります。

ただ、今回の件に関しては、例えクロでも擁護せずにはいられない問題です。

あなたは自転車で歩道を走った事がありますか?

あなたは以下のようなことをやった事がありますか?

  • 自動車で制限速度を1キロでもオーバーした事がある
  • 自転車で歩道を走った事がある
  • 歩行または自転車で赤信号を無視して渡った事がある

いくつ当てはまりましたか? おそらく一つも無いという人はわずかでしょう。特に制限速度オーバーは誰もが経験しているはずです(減点関係なく)。

勿論これらは違法・違反行為ですが、『暗黙の了解』である程度は許容されているんですよね。罰則を受けるかどうかは警察のさじ加減なんです。

これが今回の画像の無断利用(盗用)にも当てはまります。

著作権の『暗黙の了解』について

以前問題になった佐野氏が監修したサントリートートバッグの盗用問題のようなケースは誰が見ても違法行為です。しかし、今回のようなプレゼン資料の『イメージ図』、加えて一般的に公開されないもの(この資料は元々公開される予定の無いものでした)であれば事情は変わってきます。

著作物は『私的利用』であれば無断で利用する事が可能であることは多くの人が知っているかと思います。勿論、私的利用とは自分の為に利用する場合に限定されるので、佐野氏のケースは違反になります。

しかし、『暗黙の了解』によってどこまで許容されているかによっては重大な問題とも言い切れないと思います。

例えば、社内のメンバー2、3人で簡単な打ち合わせをする場合、その資料を作るのに著作権を気にする人は滅多にいないでしょう。数分で終わる簡単な打ち合わせの資料作りに時間や費用を割けば仕事が成り立たなくなるからです。つまり、このくらいの違反であれば『暗黙の了解』として容認されているということです。

どこまでが『暗黙の了解』なのかを線引きするのは難しいですが、「不特定多数に拡散しなければOK」という認識の人が多いように感じました。つまり、そのルールに則れば、基本的に関係者だけが目にする五輪エンブレムのプレゼン資料も許容範囲だと考えることが出来ると思います。

追記:9月1日に佐野氏が出したコメントによると、「デザイン業界ではクローズドな場であれば普通に行われている事であり、オープンにする場合は承諾を得なければならない」として今回承諾を取らずにオープンにしてしまった責任を認めています。

また、当ブログ読者の方から情報を頂きましたので掲載させていただきます。これを加味した上で佐野氏の問題を改めて考えてみるのも良いかと思います。

非公開のプレゼン資料であれば、著作権法第三十条の三(検討の過程での使用)で
著作物の無断利用は許可されています。
(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO048.html)

検討の過程による著作物の無断利用は法的に問題ありません。
つまり、プレゼン用資料として他人の写真などをアタリで入れたりして
説明に使用するのは問題のない行為だと言えます。
(もちろん、その写真を後日公開する目的での使用。ということであればですが。)

http://gvalaw.jp/venturelaw/archives/714.html

しかし、それを公表するのは原著作物の著作財産権者への
確認を取らなければなりませんので、その点で問題があります。
(この場合は原著作物に改変を加えているので、
著作人格権者にも確認が必要ですが)

日本の文化は著作権違反が黙認され成り立っている

日本にはオタク文化という世界的に見ても特徴的な文化があります。そのオタク文化の中には『同人誌』、『同人アニメ』、といったものがあり、これらを販売するイベントとして『コミックマーケット』というものがあります。『コミックマーケット』は一度の開催につき約60万人もの来場者が訪れる一大イベントです。

これだけ多くの人が支持するイベントですが、けして無視することが出来ない数の違反があります。それは『二次創作物』と呼ばれる物です。『二次創作物』とは他の著作物を元に作られた創作物(同人誌、同人アニメ)のことです。当然、著作物の改変などに当たりますから違反行為です。しかし、これも基本的には『暗黙の了解』として容認されています。

さらに、ニコニコ動画やYoutubeでおなじみの『ゲーム実況』動画も著作権違反ですが、あまりに違反者が多いこともあってか、ゲームメーカー側が折れる形で黙認されています。同様にニコ動の『歌ってみた』『踊ってみた』もそうですよね。何年か前にニコ動が権利者と契約を結ぶ事で一部合法化しましたが、長いこと黙認されていました。

おわりに

おそらく全てのルールを守れば逆に窮屈で生活し難い環境になってしまうはずです。しかし、『暗黙の了解』とはいえ違反には違いありませんから、足元をすくわれない為にも可能な限りはルールは守るべきだと思います。ましてや社会的影響力のある人であれば尚更です。

あと、Twitter民に言いたいことですが、アニメキャラや芸能人の画像をアイコンにしている人が佐野氏を批判する権利は無いと思うんですよね。著作権違反しながら著作権違反を批判するとか一体何の冗談でしょうか。

なお、五輪エンブレムのプレゼン資料は盗用であったとしてもエンブレム自体は盗用では無いと思います。その理由を知りたい人は下記の記事をご覧ください!

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