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【麻薬殺害】フィリピン政府の異常性は日本に例えるとより鮮明になる

      2016/09/28

フィリピンのドゥテルテ大統領の麻薬撲滅政策に大きな波紋を呼んでいます。大統領就任から2か月で麻薬容疑者2,400人を殺害し、その半数以上は警察ではなく市民(自警団)が殺害したと言われています。

この政策は一定の評価を得ていますが多くの問題も抱えています。私達日本人からすれば異常な政策と受け取らざるを得ません。

警察・司法の関与無しで「市民が合法的に殺人」を行なえるようにしたドゥテルテ政権

フィリピンのドゥテルテ政権は市民に対して麻薬容疑者を殺害する権利を与えました。それだけフィリピンが麻薬で深刻な問題を抱えているのだとは思いますが、かなりリスキーな政策だと思うんですよね。

なぜなら、市民の自己判断で殺人が行えるようにしてしまったわけですから、そこに警察・司法が介入しないことを意味するわけです。つまり、ある種の無法国家にしてしまったと言う事でもあるわけです。

フィリピンでは自警団による麻薬密売人の殺害が進む:ASEAN PORTAL(アセアン ポータル)

上記の記事によると、麻薬容疑者を殺害した市民が殺害の様子をネットにアップするなどの問題も起きているようです。正義の名のもとに異端者を晒し者にする行為はイスラム国(IS)を連想させます。政府が殺害を許可したとは言え、まともな人間が出来る事ではありません。

さらに、警察・司法が介入しないと言う事は、冤罪での殺害も黙認されるということです。殺害して事後報告すれば良いので無実の罪を捏造することも容易です。「死人に口無し」と言いますからね。

事実、AFPBB Newsの記事によると、麻薬密売を疑われ自警団に殺害されたマイケル・シアロンさんの妻は「夫は無実だ」と冤罪を主張しておりおそらく事実でしょう。なぜなら殺害されたシアロンさんはドゥテルテ政権の支持者の一人だったからです。もし、シアロンさん自身が麻薬密売人であれば自分を殺しに来るドゥテルテ政権を支持するわけがありませんよね。

【疑問】市民が麻薬組織の報復を恐れず殺害することが可能なのだろうか?

殺害した2,400人の麻薬容疑者の半数以上が市民の手によるものですが、「殺した相手は本当に麻薬容疑者なのか?」という疑問があります。

冤罪は勿論ですが、故意に濡れ衣を着せて殺害したケースがかなり多いのではないかと思うんですよね。

なぜなら、市民が麻薬組織の一員を殺害すれば、今度は自分が命を狙われる立場になるからです。

例えば日本で言うところの「ヤクザ」を一般人が殺す覚悟があるでしょうか? 普通は報復を恐れ殺せません。家族や友人にまで危害が及ぶ可能性もあります。事件に巻き込まれて正当防衛で殺害するならまだしも、自ら積極的に殺害するなんてことは普通は出来ません。

そう考えると、殺害された2,400人の麻薬容疑者のうち何割かは麻薬とは無縁の一般人が濡れ衣を着せられて殺害された可能性が考えられるわけです。

もし、同じ麻薬殺害政策が日本で行われたとしたら…

冤罪も濡れ衣も無く本当の麻薬容疑者だけが殺害されていたとしても、これと同じ事が日本で行なわれれば相当な混乱を生むでしょう。

2010年の読売新聞の記事によると、日本でも約276万人が何らかの違法薬物を使用した経験があるという調査結果が出ているように、薬物使用の深刻さはフィリピンと大差は無いと思われます。それでも日本はフィリピンと同じことは出来ないはずです。

もし、日本で麻薬容疑者の殺害が許可されれば、日本のあちこちで殺人が起きます。麻薬密売が盛んに行なわれるであろう繁華街やクラブで殺害の現場や死体を頻繁に目にすることになるはずです。

素人には警察のような鋭い観察眼はありませんから、麻薬の取引じゃないのに勘違いして麻薬だと決め付け殺害するような事が頻発するはずです。もはやテロと変わらないですよね。誰もが冤罪に巻き込まれる可能性があるわけですから繁華街やクラブに立ち寄る人もいなくなるでしょう。

また、快楽殺人を行う異常者が合法的に殺人が行なえるようになるわけですから、異常な感情をさらに刺激して取り返しのつかない事に発展しかねません。

以上の事を考えるとやはり市民に殺害の権利を与えるべきではありません。混乱を巻き起こし新たな被害を生むだけです。

おわりに

この政策を「犯罪者に人権は無い!」と言って支持する人が日本にも一定数いるわけですが、これまで述べたように問題はそこじゃないんですよね。

犯罪者が殺害されるのは自業自得ですが、警察も司法も介入せず市民が殺害出来る以上、冤罪や故意に濡れ衣を着せた計画的殺人が間違いなく行われます。

つまり、「犯罪者ではない一般人の権利や命が奪われかねない」危険な政策なのです。正直、ドゥテルテ大統領は政策による成果を求めるあまり、市民の命を軽く扱っていると思わざるを得ません。

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