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『報復の連鎖』の本当の恐ろしさ。空爆支持は人質を殺害するということ

   

世論はヨルダンの空爆によるイスラム国(ISIS、ISIL)報復攻撃に「支持する!」「あたり前だ!」という風潮だが、私は断固反対だ。多くの人は「支持することの意味」を理解して言っているのだろうか?

空爆を支持している人は「早くイスラム国をなんとかして欲しいから賛成」「罪の無い人が巻き込まれるのは嫌だけど”多少の犠牲”は仕方が無い」などと考えている人がほとんどだろう。正直安易な考えだと思う。何故私が空爆に断固反対するかその理由をこれから話す。

『多少の犠牲』がもし自分や家族だったら?

ヨルダンは人質を殺害されたことで徹底報復を表明したわけだが、空爆することは現在も拘束されている人質ごと殺害することになる。人質が殺害され怒る気持ちは理解できるが、人質や一般市民を巻き込めば結果的にやっていることはテロリストと同じなのである。こういう時こそ主導者は冷静でなくてはならないはずだ。

もし、後藤さん解放の交渉中にヨルダンやアメリカが空爆し、後藤さんを巻き込んだらどう思うか?世論では「テロリストは許さない」という意見が大半だったが、死因が空爆だったら納得がいくだろうか?空爆を支持することは「後藤さんは死んでも構わない」と言ってるようなものなのである。それでも「仕方が無い」と言う人も多くいるだろう。要は皆「他人事」なのである。他人の事だから「仕方が無い」で済ませられるのだ。もし、自分や家族が拘束されたら同じ事は言えないはずだ。はたして、自分や家族が死ぬことは「多少の犠牲」なのだろうか?

悪を絶やす為には犠牲は仕方が無いという考えは許されない。何故ならアメリカの広島原爆を正当化することになるからだ。当時の日本はアメリカや諸外国の立場からすると「悪」だった。本来であれば軍だけを攻撃し戦力を無くせば良かったが、戦争の長期化を防ぐ為に原爆を民間人に落とすことで大量殺戮し降伏させた。アメリカにとって原爆は仕方の無いことで必要な犠牲だったのだ。しかし、日本人からすればそんな言い分を認められるわけが無い。罪の無い人が殺されたことは確かなのだから。だから日本は多くの犠牲を伴う空爆を認めてはならない。

『報復の連鎖』の本当の恐怖

報復の連鎖の本当の恐ろしさはテロリストからの報復ではない。一般人をテロリストにしてしまうことなのである。

空爆や報復を支持する人は「テロリストを野放しにしていては危険だ」という考えが大半だろう。勿論テロリストを野放しにすることは危険なのだが、空爆による無差別な報復が正しい方法だとは思えない。何故なら今よりも事態が悪化する可能性が高いからである。

アメリカは「テロに屈しない」と言って戦争をしてきたわけだが事態は改善しただろうか?改善するどころか戦後最大規模のテロリスト集団であるイスラム国を生み出したわけだ。テロの原因は憎悪だ。一般的にテロは欧米に反発するものが多い。それは欧米が中東の価値観を侵害して、暴力によってねじ伏せてきた結果ではないだろうか?

報復の連鎖のメカニズム

「テロリストを職滅すれば終わり」と考えている人は実に多い。だから安易に空爆に賛成できるのだ。しかし、実際はそう簡単にはいかない。なぜなら「連鎖」しているからだ。

テロリストにも家族や友人がいる。そしてイスラム国の半数は海外からの参加者なのである。つまり、テロリストが殺害されればイスラム国内外関係なく家族や友人が欧米や空爆に参加した国を憎むはずだ。テロリストならば殺されても自業自得で住むかも知れないが、空爆は一般市民も巻き込んでいるわけだ。むしろ殺害されるほとんどは一般市民だ。当然彼らには罪は無いわけだから憎悪が拡大する勢いは計り知れない。

また、ヨルダンの報復攻撃で人質になっていた米軍女性が死亡したという報道があったが、「仕方ない」と思う人もいれば、「許せない」とヨルダンに敵意を覚えるアメリカ人もいるはずだ。

昨年末にはイスラム国の人口(非戦闘員含め)は10万人を超えたとも言われていたので、仮に10万人として、各々に10人の家族あるいは友人がいたとする。彼らを殺害すれば単純計算で100万人が欧米や空爆した国を憎む。そのなかでもテロリストになる人は一部かも知れない。しかし楽観視はできない。憎悪はヘイトスピーチやヘイトクライムの原因になる。そして、それがさらなる連鎖に繋がるのだ。しかも、イスラム国が外国人で構成されていることを考えると、その連鎖は特定地域だけではなく世界中に拡散するわけだ。

だから、報復や空爆による無差別殺戮は避けなければならない。身を守る為の一時的な措置として仕方ないケースも出てくるだろうが、長期的に考えれば悪化する一方だ。

死者を冒涜するつもりは無いが、そもそも殺害されたヨルダン軍のパイロットはイスラム国に対し空爆を行い一般市民や非戦闘員を巻き込んでいたわけだ。イスラム国の人にも感情はあるわけだから無関係な人が殺されれば怒りを買うのは当然なのである。

ヨルダン軍パイロットは焼殺処刑されることになってしまったわけだが、えぐい処刑が認められているイスラムでも焼殺はタブーとされている。だから今回ヨルダン国民は相当怒っているわけなのだが、彼等の報復にも疑問を感じる。

イスラムの教えに「目には目を、歯に歯を」と言うものがある。これは自分がされたこと以上の報復を相手にしないという、「事態の悪循環の抑制」の意味を持った言葉だ。しかし、ヨルダンの人々は怒りのあまり、自らもイスラムの教えに反してしまっているのである。教えを破り、罪の無い人まで殺害してしまってはとても正義があるとは言えない。

感情的になってしまう事態ではあるが、国の一大事だからこそもっと冷静にならなくてはならない。その行動が国の行く末に大きく影響するわけだから。

おわりに

人間誰しも自分や家族の命が一番大事だと思う。だからこそ「空爆でなんとかしてイスラム国を職滅して欲しい」と思うのだ。十数年前に起きたイラク戦争では私も同じ考えだった。しかし、今回色々と考察したことで空爆が更なる事態の悪化に繋がるのではないかと思いこの記事を書いたわけだ。

基本的に多くの人は他人事であったり、単純に「イスラム国が悪い」「危険地帯に行った人が悪い」で済ませてしまっている。もし、国民や世界の人々一人一人が「何故このような事態が起きてしまったのか」を真剣に考えることが出来れば事態は少しずつであっても好転するのではないかと思う。

イスラム国問題最悪の結末へ。この結果は『平和ボケ』が原因である。そして今後日本はどうするべきか?

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