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目先の抑止力のために、長年積み上げてきた抑止力を捨てようとする安倍政権

      2015/07/20

先日投稿したこちらの記事でも書いたことですが、日本は70年間一度も戦争をしたことも巻き込まれた事もありません。これは偶然なんかではありません。『抑止力』が働いているからこそ日本は70年間戦争をする必要が無かったんですよね。

「武力を持たない日本が抑止力???」と思うかもしれませんが、何も武力だけが抑止力じゃないんですよね。『武力以外の抑止力』を説明する前にまず安倍政権が考える『武力による抑止力』について話します。

『脅し』によって得られる抑止力は微々たるもの。それどころかリスクの方が上回る事も

武力による抑止力は言い換えると『脅す』ことで得られる抑止力です。おそらく、『脅し』は『軽い気持ち』で攻撃を仕掛けてくるような国には有効な抑止力と言えるでしょう。しかし、『本気』の国に対しては脅しは効きません

例えば、日本は太平洋戦争でアメリカに戦争を仕掛けたわけですが、圧倒的に不利な状況で挑んだんですよね。その比率は『1:30』。日本が1、アメリカが30です(参考)。日本軍が30個集まってやっと米軍と対等だったわけです。また、イスラム国などのテロリストに対しても脅しは効きません。なぜならイスラム国戦闘員は自爆ベルトを常時身に付けていて、いつでも死ぬ覚悟でいるからです。本気度が違います。

つまり、『本気』の相手には武力による脅しは通用しません。アメリカとの同盟を強化したところで本当の抑止力は得られないという事なんですよね。逆に脅威を排除しようと攻撃を仕掛けられてしまう可能性すらあるわけです。アメリカがテロの標的になっている事実を考えれば答えは分かりきっていますよね。

そもそも『脅し』は一時的には抑止力になっても、脅し続ければ『敵対感情』は増幅していきます。最終的はその感情が爆発して地球規模の戦争が起こりかねません

続いて『武力以外の抑止力』を説明します。日本が戦後70年間一度も戦争に巻き込まれる事が無かった抑止力・・・。

それは『友好』です。

日本は地道に各国と友好関係を築き上げてきたからこそ絶大な抑止力を得られた

「友好が抑止力だって?笑わせるな」と思う人もいるかも知れません。しかし、事実なんですよね。70年という実績があるわけですから。これからやろうとしている集団的自衛権による抑止力よりも確実に信頼できますしリスクもありません。勿論、これまでも日米が協力してきたことも抑止力の一つですが、日中関係が最悪だったら米国の協力があったとしても多かれ少なかれ武力による衝突はあったでしょう。

単純な話、味方を攻撃しようなんて人はいませんよね? 逆に、敵を排除しようとするのは当然ですよね?

日本は70年間地道に世界中の国と交流したり人道支援をしたりして友好関係を築き上げていったわけです。実際に世界中の人から『好きな国』として日本が挙げるられていますよね。メインの抑止ターゲットである中国ですら半数以上が日本・日本人が好きだと言っているんですよね(参考)。それに日本には60万人以上の中国人が暮しています。友好関係を築けば同じ国で共存することだって可能なわけです。

日本と中国が友好関係を深めれば99.9%侵略戦争など起きません。そもそも、世界中を敵に回して日本を侵略するメリットがありませんからね。テロリストなんかも同じです。あえて敵対するような事をしなければ日本でテロは起きません。かつて日本が米国に戦争を仕掛けたのも友好関係に亀裂が入ったからです。

ただ、領土問題は別です。領土問題は歴史観の違いによって起こるからです。その違いを互いに受け入れなければいくら友好であっても解決しません。アメリカが日中の領土問題に首を突っ込んでも何も得しないわけですから、例え集団的自衛権を使えてもアメリカが手を貸すことは無いでしょう。解決には外交努力が必要です。

安倍政権はこれまで日本人が積み重ねてきた貴重な抑止力を捨て、リスクだらけの抑止力を得ようとしている。

安倍首相は集団的自衛権でアメリカの戦争に手を貸すことで抑止力を得ようとしているわけですが、これは同時にこれまで積み重ねてきた極めて重要な抑止力を捨てる事を意味します。

どういうことかと言うと・・・

アメリカを敵視している国は世界中にいるわけです。特にイスラム圏に憎まれていることは皆さんご存知のはず。つまり、アメリカと同盟強化すれば多くの国を敵に回す事になるんですよね。日本がこれまで友好関係を築いてきたイスラム圏の国々との関係も最悪なものになるでしょう。また、アメリカと中国およびロシアも仲が悪いですから、これまで以上に日中、日露関係が悪化します。

世界中の国を敵に回す事と引き換えに『米国』という強力な武器を手に入れるのが集団的自衛権なんです。

しかし、最初に説明したように圧倒的な武力を手にしても、それが抑止力にならない場合もありますし、そもそも米国が助けてくれる保証もありません(あくまでも集団的自衛権は日本が米国を助ける為の権利です)。

おわりに

行使するもしないもどういう結果になるかは分かりません。可能性の問題なんです。集団的自衛権が効果的に働く事もあれば、悪い方向に働く事もあるわけです。正解はありません。

しかし、安倍政権は集団的自衛権をまるで『特効薬』のよう扱っているわけです。「これさえあれば日本人に危険は及ばない」と思い込んでいるんです。

トータルで見て行使するメリットの方が大きいというなら分かりますが、安倍首相は一切デメリットやリスクを語らないんですよね。リーダーであるなら『リスク管理』は必須なのにそれを無視しているわけです。そもそも中国に対して危機感を持っている割に、靖国参拝で相手を挑発したりして自分の矛盾に気付かないんですから信用ゼロですよね。

仮に集団的自衛権が抜群の抑止力が得られる『特効薬』であっても、冷静で的確な判断が出来ない人が使えば『猛毒』になりかねないのです。

また、安倍首相は集団的自衛権を行使し『普通の国』に仲間入りしたいようですが、日本は『普通の国』よりも好かれる『特別な国』なんですよね。多くの国は武力による抑止力に頼らざるを得ないのかも知れませんが、日本は武力に頼らなくても抑止力が得られるんです。それは70年の実績が証明しています。この『日本ならではの強み』を生かして国を守る事が重要だと私は思います。

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